グリチルリチン酸(甘草由来成分)は、肌の赤みや炎症を抑える助けになる可能性があり、化粧品や薬用スキンケアでよく使われます。本稿では赤みの原因と生活・スキンケアでの対処、成分の働きと注意点をわかりやすくまとめます。
グリチルリチン酸とは?期待される働き
グリチルリチン酸は甘草(カンゾウ)に含まれる成分で、抗炎症作用や抗アレルギー作用が期待されることから、スキンケアでは「炎症を鎮める」目的で配合されることが多いです。医薬品成分としてはジプロピレングリコール塩などの形で配合される場合もあり、外用で局所の赤みやかゆみの緩和に寄与する可能性が示唆されています。成分の基礎情報は公的データベースで確認できます(例: PubChem https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Glycyrrhizin)。
赤み(発赤)の主な原因
赤みは一律の症状ではなく、原因に応じて対処が変わります。以下を参照して自分の状態を把握すると良いでしょう。
- 炎症性の赤み:ニキビや湿疹、接触性皮膚炎などの局所的な炎症が原因で生じることがある。
- 血行性の赤み:皮膚の血管拡張(温度変化や運動、アルコール、ホルモンなど)で一時的に赤くなる場合がある。
- バリア機能低下による赤み:乾燥や角層の乱れで外因に過敏になり、慢性的な赤みが続くことがある。
- 慢性疾患に伴う赤み:酒さ(ロザケア)など、専門的な治療が必要なケースもある。
赤み対策:生活習慣とスキンケアの順序
赤み改善は生活習慣とスキンケアの両面から取り組むと効果的と考えられます。まず生活面で負担を減らし、次に穏やかなスキンケアで肌を整えていく流れが望ましいです。
- 生活習慣:睡眠不足やストレス、過度のアルコール摂取は血行や免疫に影響し、赤みを助長する可能性があるため、規則的な生活や適度な運動、十分な休息を心がけると良いかもしれません。
- 紫外線対策:紫外線は炎症を悪化させることがあるため、日焼け止めや帽子などで物理的に防ぐ配慮が期待されます。
- スキンケア:刺激の強い成分(高濃度のアルコール、強い酸性ピーリング剤など)は避け、保湿でバリアを回復させることが赤み改善の助けになる可能性がある。
- 成分選び:グリチルリチン酸は抗炎症的な補助成分として有用で、敏感になった肌の鎮静を目的に配合された製品が選ばれることがある。ただし、単独で根本原因を治療するわけではない点に留意する必要があります。
製品での使い方と安全上の注意点
化粧品に含まれる場合、低濃度での外用利用が一般的で、即時的な鎮静効果が期待される反面、注意すべき点もあります。
- パッチテストの推奨:初めて使う製品は目立たない箇所で試して刺激やかゆみが出ないか確認すると安心感が高まる可能性がある。
- 広範囲・長期使用の配慮:口からの過剰摂取では偽アルドステロン症(むくみ、血圧上昇、低カリウムなど)といった全身影響が報告されているため、外用でも広範囲や高頻度・長期間の使用には慎重さが求められる場合がある。
- 傷やただれた部位への使用:皮膚のバリアが壊れている部分では吸収が高まる可能性があるため、医師に相談することが望ましい場合がある。
- アレルギー反応:稀に接触性皮膚炎を起こすことがあるため、発赤が増すようなら使用を中止し、専門医に相談することが適切かもしれません。
配合製品を選ぶポイント
赤み対策を目的に製品を選ぶ際は、グリチルリチン酸のほかに鎮静・保湿を補助する成分のバランスを確認すると良いかもしれません。
- 低刺激処方を選ぶ:香料やアルコールなど刺激源が少ない表示のものが安心感につながる場合がある。
- 保湿成分との併用:ヒアルロン酸やセラミドなどバリア修復を助ける成分があると総合的な効果が期待される。
- 濃度と用途を確認:薬用(医薬部外品)か化粧品かで目的や配合量が異なるため、用途に合ったものを選ぶと良い。
肌質別のポイント
- 乾燥肌:保湿重視で、グリチルリチン酸配合の鎮静系アイテムは炎症による赤みの緩和の一助になる可能性。油分と水分のバランスを意識する。
- 脂性肌:過度な洗浄は皮脂バランスを崩し赤みを招くことがあるため、低刺激でサッパリ系の保湿を心がけると良いかもしれない。
- 混合肌:部位によりケアを分けると効果的で、赤みが出やすい箇所には穏やかな鎮静成分を補うと落ち着きやすい可能性がある。
- 敏感肌:低刺激処方や少ない成分数の製品を選び、初回はパッチテストを行うとトラブル予防に繋がる場合がある。
いつ専門家に相談すべきか
赤みが長引く、範囲が広がる、痛みや強いかゆみを伴う場合は皮膚科受診を検討すると安心感が得られる可能性が高いです。慢性的な酒さ(ロザケア)や感染を伴うケースでは専門的な診断と治療が必要となる場合があるため、日本皮膚科学会などの専門情報も参考にすると良いでしょう(例: 日本皮膚科学会 https://www.dermatol.or.jp/(アーカイブ))。
FAQ
Q. 敏感肌でも使えますか?
多くのスキンケア製品は敏感肌向けに配合されていますが、初回は目立たない箇所でパッチテストを行い、赤みやかゆみが出たら使用を中止してください。
Q. どのくらいの頻度で使えばいいですか?
製品の使用説明に従うのが基本です。一般的には洗顔後に朝晩1回ずつ使うことが多いですが、医薬品や強めの処方は医師の指示に従ってください。
Q. 副作用や注意点はありますか?
外用では接触性皮膚炎などの局所反応が稀にあります。大量の経口摂取では血圧上昇やむくみが問題になりますが、通常の外用では起きにくいです。明らかな炎症や酒さがある場合は皮膚科受診をおすすめします。
- Q: グリチルリチン酸は敏感肌でも使えますか?A: 多くは低刺激処方で使えることがありますが、個人差があるため初回はパッチテストを推奨します。
- Q: 効果はどれくらいで出ますか?A: 即時の鎮静を感じる人もいれば、数週間の継続で落ち着く場合もあり、個人差があります。
- Q: 妊娠中に使ってもよいですか?A: 一般に外用は安全性が高いとされていますが、不安な場合は医師に相談すると安心です。
- Q: 内服での注意はありますか?A: 甘草成分の過剰摂取は全身影響が報告されているため、サプリ等での過剰摂取には注意が必要です(成分情報: https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Glycyrrhizin)。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。体調や肌状態には個人差があります。気になる症状が続く場合は、医療機関等の専門家にご相談ください。化粧品等の効果・効能を保証するものではありません。
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