アスパルテームとは?どんな食品に使われる
アスパルテームは、砂糖の代わりに甘味をつける低カロリー甘味料の一種で、清涼飲料、ガム、デザート、栄養補助食品などに使われています。各国の規制当局が長年評価してきた添加物のひとつです。
まず結論:なぜ賛否両論になるのか
アスパルテームが議論になりやすい理由は、大きく2つです。
- 「危険性(ハザード)」と「摂取量を含むリスク」を混同しやすい
- 研究結果が「ゼロ/100」で割り切れず、“限定的な示唆”が独り歩きしやすい
実際、WHO傘下のIARCはアスパルテームを「グループ2B(ヒトに対して発がん性の可能性)」と分類しました。一方で、同じくWHO/FAOのJECFAは、評価の結果としてADI(1日許容摂取量)0–40 mg/kg体重/日を維持しています。

この「結論が割れて見える構図」こそが、賛否両論が続く最大の理由です。
「発がん性の可能性(IARC 2B)」とは何を意味する?
IARCの分類は、ざっくり言うと「その物質ががんを起こし得るか(危険性の強さ)」を評価する枠組みです。
グループ2Bは、“ヒトでの証拠が限定的”などの条件で付くことがあります(=「がんの原因と断定」ではありません)。
では、IARCは何を根拠に2Bにした?
IARC側は、主に疫学研究(人の観察研究)などから、特定のがん(例:肝がんなど)との関連を示唆する結果がある一方で、証拠は限定的という整理をしています。
ここで重要なのは、観察研究は「関連」を示しても、生活習慣や他の要因(交絡)を完全に除くのが難しく、因果関係の確定は別問題になりやすい点です。
一方で「安全な摂取量(ADI)は維持」とは?(JECFA・EFSA・FDA)
JECFAは2023年の評価で、入手可能なデータをレビューした上でADI(0–40 mg/kg体重/日)を変更する理由はないと結論づけています。
EFSA(欧州)も2013年の再評価で、現在の暴露推定では安全性の懸念はないとして、ADI 40 mg/kg体重/日が保護的としています。
米FDAは、アスパルテームのADIを50 mg/kg体重/日と示しています。
どれくらい飲むとADIに届く?(現実的な目安)
FAO/WHO側の解説では、体重85kgの成人がADIに達するには、甘味料入り清涼飲料を1日あたり“約17缶”程度が一つの例として示されています(製品の含有量にもよります)。
つまり多くの人は、通常の範囲ではADIを大きく超えにくい、というのがリスク評価側の見方です。
体の中でどうなる?(よくある不安点の整理)
アスパルテームは消化の過程で分解され、主にフェニルアラニン、アスパラギン酸、メタノールなどになります。ここが「体に悪いのでは?」と不安を呼びやすいポイントです。
ただし、これらが健康リスクになるかは「量」と「個人差(体質)」が重要になります。
絶対に注意が必要な人:フェニルケトン尿症(PKU)
PKUの方はフェニルアラニンの代謝に制限があるため、アスパルテームを避ける必要があります(多くの製品で注意表示があります)。
“裏話”としてよく語られる論点(事実ベースで整理)
1) 「発がん性物質」なの?
IARC 2Bは「可能性」を示す分類で、“発がん性物質と断定”とは別です。
一方、JECFAなどは摂取量まで含めた評価でADIを維持しており、「通常の摂取範囲で重大な懸念は支持されにくい」という立場です。
このズレが、SNS上で「危険」だけが切り取られやすい背景になっています。
2) 「業界の圧力で安全になっているのでは?」
歴史的に議論が多かったのは事実ですが、少なくとも公的評価は、複数の国・機関が独立にレビューし、見解を更新してきました(EFSA、FDA、JECFAなど)。
「完全に白/黒」と決めつけるより、“限定的な示唆があるが、摂取量を踏まえると多くは基準内”という現状理解が近いです。
不安な人向け:現実的な付き合い方(迷いを減らす)
- 毎日・大量に摂る習慣がある場合は、頻度を下げる(まずここだけで良い)
- 「ゼロにしないと不安」になりやすい人は、“平日だけ控える”など続けやすいルールにする
- 代替は「無糖」「少量の砂糖」「他の甘味料」など、自分が継続できる形でOK
- PKUの方は避ける(これは例外で確実に重要)
よくある質問(FAQ)
Q1. アスパルテームは発がん性が確定したの?
確定ではありません。IARCは「可能性(2B)」を示しましたが、証拠は限定的と整理されています。
Q2. WHOは「危険」と言っているの?
WHO発表は、IARC(危険性評価)とJECFA(摂取量を含むリスク評価)の結果を併記しています。JECFAはADIを維持しています。
Q3. どれくらい摂ると基準に届く?
例として、FAO/WHOの説明では体重85kgの成人で「約17缶/日」などが示されています(製品差あり)。
Q4. 妊娠中でも大丈夫?
個別判断になります。不安が強い場合は避けた方が良いですが、必要なら主治医に相談するのが安心です。
Q5. 結局どうすれば良い?
「普段から大量に摂っているかどうか」で考えるのが現実的です。普段何気なく食べている原材料などをチェックして気になるなら“減らす工夫”が迷いを減らします。

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